メンタリストDaiGoさんの本の読み方、知識の習得方法を紹介している本です。本の読み方が書かれているだけでなく、「知識を操る」というタイトル通り、習得した知識をどのようにアウトプットして自分のものにしていくか、という部分まで書かれて言います。
DaiGoさんのYoutubeはよく見ていますが、説明に必ず出典(エビデンス)や数字が入っているのでなるほど、と思っちゃいますね。そういった「知識を操る」ための読み方、アウトプットの方法が非常に参考になります。
本の内容で大きなポイントは下記の3つ。
・本を読む準備をする
・本の読み方を知る
・本から得た知識をアウトプットする
それぞれ論文など様々なエビデンスをもとに解説されていてより効果的な実践方法も書かれています。これまで似たようなことをやろうとして、できなかった方にもおすすめです。
本書の大きなテーマである「本を速く読む、多く読む方法」、「読んだ本の知識を定着させ、活用する方法」について概要をご紹介。
速読ではなく「スキミング」 で速く読む
第1章では本を多く読む技術としてよく出てくる「速読」「多読」「選書」について科学的な根拠に基づいて意味がない理由が紹介されています。
2016年のカリフォルニア大学の研究から、速く読む読書法や、本のページを画像のように読む読書法について、下記のような結果がでているそうです。
・読むスピードを上げると、読んだ気になるだけで内容の理解度はむしろ下がる
『知識を操る超読書術』より
・読書のスピードと時間を決める要素の中で、目の動きや周辺視野が占めるのは10%以下しかない
私も写真記憶方式という「見開きを写真のように写し取って、潜在意識に記憶する」速読を試したことがありますが、中身の理解をするのが難しい、記憶にほぼ定着しないと感じていたのでこの章を読んで上手くいかない理由に納得。
では、どのように読めば速く読め、内容を理解できるのか。
その方法が「スキミング」です。
スキミングとは
スキミングとは「この本は今の自分が読んだ方がいい本かどうか」「自分の得たい情報が書かれている本かどうか」を判断し、読む本、読む箇所を絞るための方法です。
読む本、読む箇所を絞れるので読む時間を短縮でき、結果として自分が読むべき本を多く読むことができます。
本書で紹介されているスキミングの手順は下記のとおりです。
- STEP1表紙・帯を読む
タイトルやキャッチコピーには、本の要点が書かれているので、そこに自分の求めている内容が含まれていそうか確認する
- STEP2目次を読む
「知りたい!」「まだ知らない!」と思った章や見出しを探す
- STEP3気になる1つの章を読む
一部分読んでみて自分のレベルと照らし合わせる。
知っている・知らない情報が半々くらいが読む本の1つの基準
私は上記の手順を活用して購入する本を決めています。内容についても目を通したいので本を探すときはWEB上で探すのではなく、書店に行くことが多いです。
事前に今日は〇〇についての本を探そう、と決めて書店に行き、タイトルや帯から気になる本を探します。良さそうな本があれば気になる章を流し読みし、欲しい情報が書かれていそう、知らないことが書かれてそう、と思ったら購入という流れです。
1冊の本から、あなたにとって役立つ知識や情報を得る
スキミングを実践しても想定した内容と違う本を選んでしまうこともありますね。
また、他の人から勧められたり、ベストセラーだから読んでみよう思った本でも自分にとってはイマイチ、ということもあると思います。
そんなときでも読書は無駄にはなりません。
分かりづらいな、自分の欲しい情報はなかったな、と終わらせるのではなく「どうして分かりづらいのか」「どうしてこの本はベストセラーなのか」などを考えることで思考練習、アウトプットのネタにできます。
読む前の準備でインプットの質が大きく変わる!
スキミングによって「この本は今の自分が読んだ方がいいか」「自分の得たい情報が書かれているか」 を判断するには、自分がその本を読んでどんなことを知りたいのか、習得したいのか、を明確にしておく必要がありますね。
DaiGoさんいわく、本を読む前の準備も非常に重要で、その準備によって理解力、インプットの質が大きく変わるそうです。
読む前の準備として紹介されているテクニックは3つあります。
- メンタルマップ
- キュリオシティ・ギャップ
- セルフテスト
メンタルマップは、自分の人生の目標や行動を箇条書きにして視覚化したものです。
「なぜ、この本を読もうと思ったのか?」
「この本から何を得たいのか」
「読んだ後、どういう状態になりたいと願っているのか?」
を書いておき、集中力が落ちたときそのメモを読むことで本を読むモチベーションを取り戻すことができます。
2つ目のキュリオシティ・ギャップは本の内容を記憶に残すための準備です。
自分の持っている知識と、本から得られる知識の差分を事前に書き出しておきます。具体的には、本の目次を読んで、自分が知らないであろう箇所を書き出しておきます。これにより、「この本からこんな知識を得られそうだ」という好奇心が湧きます。
私たちの脳は好奇心が掻き立てられると「報酬系」というエリアが活性化し、モチベーションが上がるそうです。また、報酬系は記憶力を司る海馬という部位に隣接しています。脳の各部位は近いエリアが活性化するとその影響を受けやすい性質があるので「好奇心によって報酬系が活性化すると海馬も活発に動き出し、記憶力もアップする」という流れです。
読むまえの準備を実践することで、前向きに読書に取り組め、インプットの質を上げることができます。
アウトプットして知識を使いこなす!
最後はアウトプットについて。知識はアウトプット、実践してようやく身につくというのはよく言われていることですね。本書でかかれているポイントは下記の2つ。
・本から得た知識を定着させ、あなたや周囲の人のために役立てること
・読んでいて、「これはいいな」と思った方法を実践し、習慣化すること
上記を実践するために紹介されているテクニックがこちら。
- テクニカルタームで聞き手の心をつかむ
- SPICEで説得力をあげる
- 思想書と科学書のダブル読み
テクニカルタームとは、専門用語のことです。テクニカルタームを会話や説明の冒頭に少し入れると、相手が「今の言葉はなんだろう?」と興味をもちます。相手が前のめりになった状態でテクニカルタームの説明もふまえて相手にわかりやすく説明できれば、知識を使いこなすことができます。
ポイントはただテクニカルタームをを並べるのではなく、興味を引く部分に使う、ということですね。
商談の場や日常会話などで、さも当たり前のように横文字の用語ばかりを使って話す人がいますが、いちいち意味を頭の中で変換しないといけないので、なかなか会話の内容が頭に入ってきません。(もちろん基礎知識のレベルが違いすぎる、という可能性も否定はできないですが、、、)
相手にどう説明したら伝わるかを考えられる人、自分のコトバで説明できる人は理解力や知識力が高いと感じますので、これも知識習得に役立ちます。
SPICEはオックスフォード大学教授の心理学者ケヴィン・ダットン博士が「人をその気にさせる説得の公式」としてまとめたもので、5つの要素で成り立っています。
- Simplify(単純化)
- Perceived self-interest(私的利益感)
- Incongruity(意外性)
- Confidence(自信)
- Empathy(共感)
DaiGoさんのYoutubeを見ていると、テクニカルターム、SPICEを実際に活用しているのがよくわかります。
この本に書かれていることが実践できれば、知識を習得するだけでなく知識を自在にアウトプットしDaiGoさんのように印象に残る、説得力のある説明ができるようになりそうです。
著者:DaiGo
書籍より
慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。人の心をつくることに興味を持ち、人工知能記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。英国発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとして数百のTV番組に出演。その後、活動をビジネスおよびアカデミックな方向へと転換し、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授として活動中。日々インプットした膨大な情報・スキルを独自の勉強法で体得し、驚異的な成果をあげ続けている。
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