タイトルどおり課題設定について書かれた本です。
課題設定というと「現状の問題点を洗い出して、そこを課題にすればいいんでしょ?」という方もいるかもしれません。
ただ、これだと課題設定になりません。なぜかというと、課題はあるべき姿(≒目標)に到達するために足りていない部分、改善しなければいけない部分を設定する必要があるからです。
問題点の洗い出しに最初に着手すると、ほぼ間違った課題設定になります。
本書では、あるべき姿の設定方法、現状の把握方法、問題の特定方法、そして最終的に問題を解決しあるべき姿に到達するための課題の設定方法までが書かれており、課題設定のプロセスを体系的に学べます。
本書では問題、課題、課題設定を下記のように定義しています。
課題:「現状」と「あるべき姿」のギャップを把握した上で、「現状」を「あるべき姿に」するために、なすべきこと。
問題:課題の達成(「現状」を「あるべき姿」にすること)を阻む要因。
課題設定:「現状」と「あるべき姿」を正確に把握し、「現状」を「あるべき姿」になることを阻む優先順位の高い「問題」を見極め、「現状をあるべき姿」に近づける方法を考えること。
冒頭書いたように、課題設定は「あるべき姿」が明確になって初めて実行できます。
これまでは上記のような課題を設定するという行動は経営層やマネジメント層の仕事でしたが、「変化が予測可能な時代」から「変化が予測不可能な時代」になったため、現場層でも課題設定が求められているといいます。
これは私の所感ですが、ビジネスでもスポーツでも、下記のような流れを実践できる人は目標達成できる人、高いパフォーマンスを発揮できる人だと感じます。
- STEP1あるべき姿を想定する
- STEP2現状を正確に把握する
- STEP3あるべき姿と現状の差分を明らかにする
- STEP4差分を埋めるための行動を設定する
- STEP5実行する
仕事をしているとそもそも『あるべき姿』が認識されていなかったり『現状を正確に把握』ができない人もたくさんいます。
「あるべき姿」と現「状の正確な把握」をできるようにするだけでも仕事の質が大きく変わると思います。
本書の中では上記のうち、STEP1~STEP4までの方法が詳しく書かれています。
少し本の紹介とはずれてしまいますが、メジャーリーグで偉業を成し遂げている大谷翔平選手が、マンダラチャートというツールを使って『プロ野球8球団からドラフト1位指名される選手になる』という目標(=あるべき姿)を設定し、行動していたという話もここに通じるなと思っています。
高校1年生でこの内容を書いていたというのも驚愕ですが、当時この目標を立て、継続し続けているので今の成果につながっているんだなと最近のニュースを見ながら改めて感心してしまいました。
学校の教育でもこういったことを教えてくれる時間があると良いですね。
著者:清水久三子
書籍より
IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS) アソシエイトパートナー。1969年、埼玉県生まれ。お茶の水女子大学卒。大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBCS)入社。新規事業戦略立案・展開支援、コンサルタント育成強化、プロフェッショナル人材制度設計・導入、人材開発戦略・実行支援などのプロジェクトをリードし、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダー、IBCS研修部門リーダーをつとめる。プロジェクトマネジメント研修、コアスキル研修、リーダー研修など社内外の研修講師をつとめ、延べ1000人のコンサルタントの指導育成経験を持つ「プロを育てるプロ」として知られている。
問題解決、そのための戦略立案についてより深堀りたい方はこちらもおすすめ。
自身の今後のキャリア(あるべき姿)を考える際に、どんなスキルがあると良いだろうと考えるときにおすすめ。
コメント